平凡な日々に光を。

光あれ。例え鈍く、弱い輝きであったとしても。

【読書】カンパニー【ネタバレ注意】

2日で読み終わってしまった。

もっとも、読み終わらなければいけない理由はあった。

 私は宝塚歌劇が好きで年数回東京まで行くか、地元の全国ツアーを利用して観るが、来月の東京月組公演がちょうどこれを舞台化した内容であり、もうチケットを予約してあるので予習をしておく必要があった。

それと年度末、年度初めはは読書している暇が多分ない。

カンパニー

カンパニー

 

というわけで、この文章も感想文と言うより、宝塚よりの文章になるのはご了知いただきたい。

大した文章も書いてないが。

 「あー石田先生が好みそうな内容」とまずは思った。

なるほど、これなら舞台化しやすいだろう。

 

主人公はリストラのレールに乗せられ、更に離婚寸前の40代サラリーマン。

抜きんでたスキルがあるわけでもない。

彼はただただ家族と平凡な人生を歩みたかったはずだったのに・・・。

とこの辺は全くタカラヅカっぽくないのだが、この主人公がバレエ団のスポンサー側としての責任者として関わることになり、人生が大きく変わる、更に彼とかかわったバレエ団の人間、同じリストラ対象になっていた社員の転身、アイドルグループの変容などが詰まっている。

 

個人的にはこの作家、ちと詰め過ぎではと思ったが、それぞれが微妙にかかわっているから仕方ないだろうが、アイドルグループは正直いらないかな、とも思った。

主人公の仕事にはかかわってくるが、人生を左右するほどのものではない。

でもそこが面白いのか。

 

奥さんとの離婚の件はあっさりし過ぎていて、もっと深く書きこんでもよかったのかもな。

でもそこを書き込み過ぎたら、「カンパニー」にはならなかったのか。

だって、元奥さんはカンパニーの一員じゃないわけで、プロローグには使用したけど主人公のそれ以降の人生には「子の父」としてしかかかわりないわけだよね。

しかも復縁を匂わせてきた奥さんを主人公はバッサリ切ったしね。

何事も煮え切らない主人公ではあるが、この場面はきっぱりしていて好きだ。

 

石田先生は、「蒲田行進曲」、岩崎彌太郎坂本竜馬、最近だと白洲次郎を主人公として舞台化したりしている。

岩崎彌太郎宝塚大劇場で観たが、三つの菱がデザインされたツナギを着た、おそらく三菱自動車の生産ラインにいる技術者と思しき面々が工具を持って群舞する場面は正直私もあっけに取られてしまった。

なのでタカラヅカに夢々しい舞台内容を期待している方には少々異端かもしれないが、おそらく先生なりに「男性客を増やそう」とか「この題材は面白そうだ」とか考えているに違いないのだ。

 

カンパニー、楽しみにして待ちましょう。