ソネット集と前後してしまったが、先日読了。
アマゾンでも入荷待ちで、注文してから届くまで1週間ほどかかった。
東北は、石原莞爾も東条英機も生んだところであるが、東条の場合は確か本籍地が岩手と聞いており、育ちは東京。
生粋の東北人ではないと思われる。
この本を読んで感じたのは作者がやはり石原莞爾寄りなのかな、という点。
東条英機が総理大臣として軍人として余りにも稚拙に書かれている。
実際、人の上に立つ器でなかったのだろう。
そういう人間があの時代の日本を、日本陸軍を牛耳っていたというのは大変不幸な話であり、事務方のせいぜい小役人で生涯を全うしたほうがはるかにましな人生を送れたのだろうと感じた。
そして今でいうところのヒステリーの持ち主なのではと思われる。
反面、石原莞爾は胆力があり、例えがあれだが、やくざの大物というか、田中角栄のような「よっしゃよっしゃ」的な部分の記述が多くみられるように感じ、好感が持てた。
元より石原莞爾推しの私なので・・・・喜んで読んだ。
東条英機とは犬猿の仲で、それが原因なのか石原は左遷、予備役編入など軍人としてはあまり恵まれぬ処遇になってしまったがその結果、第二次世界大戦後の東京軍事裁判では戦犯に問われることもなかったのは幸いだったが、戦後の復興も見ることなく石原は逝った。
しかし、名前を間違われ、罪に問われなかった、との記述もこの本にはある。
まあ、確かに満州国建国がこの戦争の原因の発端といえば発端とも言えなくない。
そして特筆しておきたいのは、この方である。
渡辺和子さんが2・26事件の正に目撃者という視点で読めば、この本の味わい方もまた違ってきたはずである。
この本はもう大分前に読んだが、実は当時の私の頭にはさほど残らず、ブックオフで売ってしまった。
著者の渡辺和子さんの父上は、2・26事件で殺害された渡辺 錠太郎で、事件当日は父と就寝中。父の殺害現場を間に当たりにした、とある。
この本に登場する尾崎秀実とのやり取りも生々しくかかれてある。
まさか小娘が・・・・と感づかれなかったのだろうが、その後修道女となった渡辺さんの人生を考えると、余りに重い多くのものを見過ぎてしまったせいなのだろうかという気もする。