平凡な日々に光を。

光あれ。例え鈍く、弱い輝きであったとしても。

【日記】死が私の脇を通り過ぎる

昨年11月に舅が亡くなった。

昨年1月の時点で大腸癌のステージ4。

癌は肝臓に転移していた上に抗がん剤が効かなかったので持っても1年だっただろう。

11月に入り急激に状態が悪化。

舅らしく、不平不満もあっても一言も漏らさず、痛いだろうに苦しいとも言わずに逝ってしまった。

私は葬儀では泣く係?として泣き担当。

こんな係も嫁もあるまい。

 

ま、これは冗談として。

 

舅が危篤状態になる直前に私は人間ドックに入っていたのだが、その際に便潜血があることを指摘されていた。

大腸がんの検査はしたくないな・・・と思っていたのであるが、その後、トイレで用を済ませたあとに血を2度も見てしまってはさすがの私も「マズイ・・・」と思わざるを得ない。

 

大腸ポリープがあることが判明したが、2個あるうち1個しかとっていない。

ポリープが6ミリと小さすぎるからというのがその理由。

採取したポリープを病理検査に回し、その結果次第で切除となると思われる。

まあ、これは様子見。

 

そして、年末にデカいのがきやがった。

幸い、私には直に関係ないのだが・・・それなりにショックだったので書いておく。

 

客で、いつも「○○~」と商品名を連呼してやってくる70ちょい過ぎのババアがいた。

我々は陰では下の名前で「▽▽子」と呼んでいた。

 

存在がもう、強烈過ぎる。

 

人に迷惑をかける人ではなかったが、声がデカい、字は汚くて大きい、認知症の夫も一緒に連れてくるが、動作が緩慢なその夫を口汚く罵る。

夏は下着もつけずにネグリジェみたいなのを1枚着用してサンダルに素足でやってくる。

頼むからブラジャーくらいしてくれ。

皆そう思っていただろう。

 

お腹がポン、と出ていて、今思えば何かの病気だったのだろう。

いわゆるデブで、ダルンダルンにたれている状態とも違う。

多分、サイズが合う服もなかったに違いない。

買えないほどお金に困っているわけでなさそう。

厚生年金は振り込まれていたから。

 

「昔はすごく美人だった」とかつてを知る人は言うが、化粧っけの全くないその顔立ちは、確かにかすかにだが美人の面影はたたえていた。

優しそう、じゃなくていわゆる水商売に従事していたであろうという感じもするきつい顔立ちだった。

目鼻立ちもはっきりしていたし。

 

昨年12月23日、その▽▽子がやってきた。

「トイレ借りたいの」と言って私のところにやってきたのだが、アレ??

いつもの元気がない。

はい、どうぞ~と私はトイレに案内したが「大丈夫、トイレで用が済んだら勝手に出て行くから(▽▽子は来店するとトイレを借りるのが常だった)」と言ったので、じゃあ、大丈夫かな、と私はその場をあとにした。

これが私が▽▽子を見た最後だった。

 

翌24日、▽▽子の娘を名乗る者から、「○○(商品名)でカネを借りたい」と申し出があり、私ではない別の社員が対応した。

私はその隣にいた。

「▽▽子は入院していて、窓口には来れない」らしいが、え??

23日、来店したんじゃ??

私が対応したのは幻??

あのあと入院したのかい。

 

娘は24日、対応した者から委任状の説明を受け、25日、委任状を持参して貸付を受けようとしたが「これ、▽▽子の字じゃねーよ」と▽▽子を知っている者は口々にそう言い合った。

しかし、対応した社員が24日と別の社員であったのと、そういう事情を知らない彼女が貸付に応じてしまい、年明けになるが振込になるという説明をして娘を返してしまったらしい。

 

27日、私にとっては恐ろしい事実が上司との会話から判明。

 

なんと、23日、▽▽子は死亡していたのだ。

新聞公告に上がっていたらしい。

 

 

私は「嘘でしょ??!!」と叫ぶように言った。

だってだって・・・正にその日、▽▽子を店内のトイレに案内したんだよ私。

私の隣に座っていた社員も会話してるんだよ。

あのあと・・・・死んでしまったの???

亡くなったの??

 

タイミングを考えれば、店内でトイレを借りた後亡くなったのだろう。

そうじゃなければ、あれは幽霊か??

 

となると、24日、25日に来店した娘は委任状を偽造してきたに違いない。

明らかに▽▽子の字ではなかったから。

偽造云々を言うべきところだろうが、死ぬと思っていない人があっけなくこの世を去っていたことを知って、私はちと動揺している。

死は、私の脇をさりげなく通り過ぎている。

そんな年齢に達したのだな。

 

 

さて・・・・・その偽造の委任状だがどうなるかな。

それと、多分相続の手続きしないといけないけど、誰が担当になるのかな。

私は知らんぞ。